アイラモルトとは

アイラモルトとは、スコットランドのアイラ島で作られれるシングルモルトウイスキーを指します。アイラ島は淡路島よりやや大きく、インナー・ヘブリディーズ諸島の南端にあり、ジュラ島のすぐ西側。ゲール語では「イーレ（ile）」。ヘブリディーズ諸島の女王と呼ばれます。

アイラ島の人口は3000人程度で、主要な産業はモルトウイスキーの生産と観光。多くの野鳥の営巣地としてバードウォッチングの聖地と言われます。

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アイラ島の大麦だけを、こだわって使用したアイラバーレイ「ポートシャーロット　アイラ・バーレイ」は、ブルックラディ蒸留所で造られるヘビーピートモルト。フェノール値（ピートの強さを表す値）40ppm。かつて100年間操業し、ピートをたっぷりと焚いてアイラらしい ..

アイラモルトの特長

アイラモルトは、“No half measure!-ノーハーフメジャー-“と呼ばれる癖の強さが特長。これは「好きか嫌いか」という意味で、アイラモルトはその癖の強さから愛好者は熱狂的に愛しますが、嫌いな人はまったく受け入れられない、という個性的なものが揃っています。

アイラモルトを評する言葉としては、「薬臭い」「スモーキー（煙たい）」「ヨードチンキの匂いがする」「潮っぽい」と呼ばれます。

アイラ島はメキシコ湾流のおかげで比較的温暖で原料となる大麦が良く育ち、良質な水に恵まれています。さらにビートと呼ばれる泥炭がよく採れて、これがアイラモルトのスモーキーなフレーバーを与える原因になっています。

ビートはスコットランドでは暖房の燃料としても使われていますが、スコッチ蒸留の際に麦芽の乾燥をさせる際にこのビートを燃やして、その熱気で麦芽を乾燥させます。このときに出る煙を麦芽が吸収することでスモーキーな香りがつくのです。

スコッチはその歴史を通して、飲みやすくスムースな方向に進化してきましたが、アイラモルトは昔ながらの製法を守っている蒸留所も多く、しっかりと個性が残っています。そして、その強烈な個性はブレンデッドウイスキーに、まろやかなだけではない風味を与えるのに絶対的に必要で、有名なブレンデッドウイスキーでアイラモルトが入っていない銘柄は存在しないぐらいです。

アイラモルトの銘柄

アイラ島では現在、8つの蒸留所が稼働しており、10の銘柄が存在します。

ラフロイグ
アイラモルトではもっとも知名度が高い銘柄。サントリーがラフロイグ蒸留所を所有しているので、日本でも比較的入手が容易です。全ての大麦をフロアモルティングで精麦して、ビート香をふんだんに焚き染めたりといった古来からの製造法を守っており、正露丸のような薬品臭、スモーキーさ、海藻のような味わいがアイラモルトらしい銘柄です。
ボウモア
ボウモアもサントリーが所有しているため、日本でも知名度が高い銘柄です。モルトの30％をフロアモルティングで処理しており、ラフロイグほどの強烈な個性は無いもののアイラモルトの女王と呼ばれるほど繊細で飲みやすく仕上がっています。
アードペッグ
アードペッグはLVMHが所有しており、バランタインの原酒としても有名。多くのビートを使用するので、スモーキーさが強く、重厚で主張が強い銘柄です。また潮っぽさもかなり感じられます。
ブルイックラディ
ブルイックラディ蒸留所の銘柄。同じ蒸留所でポートシャーロットやオクトモアなど超個性的な銘柄を出しており、ブルイックラディはバランスの取れた仕上がりでアイラモルトとしては呑みやすい銘柄です。
ポートシャーロット
ヘビリーピーテッドで知られた銘柄。ブルイックラディ蒸留所で作られます。軽やかなフルーツの香りのあとに濃厚なスモーキーさが特徴的です。
オクトモア
ポートシャーロットよりもさらにビート臭の強いウルトラヘビリーピーテッドな銘柄。ブルイックラディ蒸留所で作られます。
ブナハーブン
アイラモルトの中ではもっともライト。基本的にビートを使わないか、少量のみの使用のため、スモーキーさは控えめ。カティサーク、フェイマスグラウスの原酒の一つでもあります。
ラガヴーリン
ディアジオ社所有。アイラモルトらしいパワフルな味わいで、潮っぽさ、スモーキーさ、薬品臭のいずれもがしっかりと感じられます。
カリラ
ディアジオ社所有。ジョニーウォーカーの原酒の一つです。比較的ライトですが、辛口でスパイシーな個性を持っています。
キルホーマン2005年に操業開始した、新しい蒸留所です。アードペッグと同等のビートを使い、強いスモーキーフレーバーを感じさせます。