ゴードン&マクファイルとは
ゴードン&マクファイル(Gordon & MacPhail)社とは、インディペンデントボトラーズ(独立系の瓶詰業者)で、1895年創業という長い歴史を持ち、数多くのシングルモルトを世界中に紹介してきました。
ボトラーズとは、蒸留所から原酒を購入して自社で独自の熟成を行い瓶詰したあとに、自社の銘柄で販売する、或いは蒸留所の銘柄で販売するという形式の活動をする業態で、その草分けにして、現在でも最も有名な存在がゴードン&マクファイルになります。
この業態を成功させるためには、蒸留所から優れた原酒を回してもらうために信頼関係を築いておく必要が有るのですが、ゴードン&マクファイルとマッカラン、グレンリベット、ストラスアイラ、ロングモーン、モートラックなどなど、多くの蒸留所と深い信頼関係に有ることは有名です。
特にマッカランはいちどはゴードン&マクファイルに販売した原酒の買い戻しを行うこともあるそうで、その熟成技術に関して絶大な信頼が寄せられています。
ゴードン&マクファイルの歴史
ゴードン&マクファイルはスペイサイドの中心部に1895年に食料品事業(高級デリカテッセン)として設立され、紅茶、コーヒー、ワイン、ウイスキーなど世界中からあらゆる食料品を輸入販売していました。
創業者のジェームズ・ゴードン(James Gordon)とジョン・アレクサンダー・マクファイル(John Alexander MacPhail)は次第にスペイサイドの多種多様なシングルモルトを揃えるようになっていきます。
1915年にジョン・アーカート(John Urquhart)という若い見習いが入ってきますが、彼は優れた選別眼の持ち主で、すぐに社の中で地位を得て、スペイサイドの店舗の顧客向けのハウスブレンドを作成するのを支援し、モルトウイスキーの熟成の経験を経て達人と呼ばれるまでになっていきます。
1933年にジョンの息子のジョージ・アーカート(George Urquhart)が入社。下積みから始めて、地元の蒸留所との関係を深めて信頼を勝ち得ていきます。
第二次大戦時までには豊富な在庫を確保しており、米国への出荷のためにその在庫を放出することで、戦争継続のための資金調達にも役立ったそうです。そして、戦時下でも出来る限りの在庫確保に務め続け、戦後の混乱期も乗り越えていきます。
そして、1967年にはジョージの息子のイアン・アーカート(Ian Urquhart)もロンドンとフランスで修行を積んだあとに入社。(イアンは1990年には代表取締役に就任し、2007年に引退するまでまでその職にありました。)
イアンが入社した翌年の1968年に、ジョージ・アーカートはこの後のゴードン&マクファイル社の代表作となる「コニサーズチョイス(Connoisseurs Choice)」の展開をはじめました。これは社の独自の銘柄のもとで、スコットランドのあらゆるところの蒸留所から原酒を調達してボトリング指定期、フランス、アメリカ、イタリア、オランダなどの当時の新興市場に売り出していくというもので、世界中のシングルモルトのトレンドを形作ったとも言われます。(ちなみにConnoisseursとは鑑定家、通、目利きという意味です。)
当時は家族経営で細々と経営していた蒸留所も多く、販売力の無いこうした蒸留所は、コニサーズチョイスシリーズのおかげで始めて自分の蒸留所の名前が印刷されたボトルを見た、ということもあったそうです。
このコニサーズチョイスはゴードン&マクファイル社の色が強く出ていた(ラベルなどはオリジナルデザインで統一されていた)のですが、数年後に誕生した「蒸留所ラベル」シリーズでは、生産者である蒸留所から許可を得たラベルを使っていることでさらに注目を集めています。
その後、72年にイアンの弟のデビッド、81年にはマイケル・アーカートとローズマリー・ランキンと一族が加わり、80年代を通して事業が拡大。91年には事務所を移転して、93年には長年に渡る一族の夢であった蒸留所の所有に踏み切ります。
彼らはフォルレス郊外のベンロマック蒸留所(83年に操業停止して)を購入すると、5年に渡って設備を整え、98年に満を持して再開。この再開のセレモニーにはチャールズ皇太子も招いており、ゴードン&マクファイル社の力の入れようと、皇太子を呼べるというスコッチ業界での同社の地位の高さを伺わせます。
2000年にはアーカート一族の第四世代のステファン・ランキン(Stephen Rankin)が入社。さらに02年にはニール・アーカート、08年にスチュアート・アーカート、09年にリチャード・アーカートが入社するなど、家族経営の基盤を固めていきます。
そして、2010年にゴードン&マクファイル社は世界最古のシングルモルトウイスキーとなる、ジェネレーションモートラック70年を発売。これは同社の豊富な古酒の中から、70年間熟成したモートラックをボトリングしたもので、エジンバラ城で独占イベントを開催。当時、全世界限定54本で市場価格200万円で販売して話題を集めました。
こうした製品はさすがに話題作りプラス実力の誇示なのですが、そうした製品を発売できるだけの豊富な古酒の品揃えも100年以上に渡りボトラーズを務めてきたゴードン&マクファイル社の強みとなっています。
一族が営々と、厳選した樽を長く熟成させ続けることに力を尽くしてきた結果であり、ゴードン&マクファイル社で無ければ到底リリースできない、無名蒸留所やすでに閉鎖された蒸留所、オフィシャル品がリリースされない蒸留所のものまで幅広いラインナップを誇ります。
2015年には今度はモートラック75年を発表。このときにはロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでイベントを開催しています。
ゴードン&マクファイルの品揃え
現在のゴードン&マクファイルは大きく分けると5つのラインに分類されます。
ジェネレーションズ
最初のジェネレーションズは前述のモートラック70年であり、その後、モートラックから2つのシングルカスク、グレンリベットのシングルカスク、そしてモートラック75年など、豊富な古酒の在庫を活かしたシリーズでゴードン&マクファイルの現在の表看板とも言うべきコレクションです。
プライベートコレクション
アーカート一族の一員によって特別に選ばれた、あまり知られていない蒸留所やすでに閉鎖された蒸留所のシングルモルトが発売されています。グレンロッシーやストラスアイラの古酒、キャパドニックやコールバーンなどのすでに操業停止した蒸留所のものなどがラインナップされています。
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コニサーズチョイス
昔から変わらぬゴードン&マクファイルのメインとなるコレクション。豊富な品揃えが特徴です。1968年以来、約100の蒸留所をボトリングして、カスクの種類、ボトリングの日付、ヴィンテージの違いなどで分けると2000ものボトルがこれまでリリースされたそうです。
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蒸留所ラベル
ゴードン&マクファイルと蒸留所との深い信頼関係を示すもので、各蒸留所がゴードン&マクファイルにのみ公認したラベルを使ったものです。
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ディスカバリー
まだ新しく出来たばかりのコレクションで、シングルモルトウイスキーへの入門編として位置づけられたコレクションです。ボトリングされる銘柄は「バーボン」「スモーキー」「シェリー」というその銘柄の最も特徴的な味わいを軸に3つに分類されて、愛好者は好みのものを簡単に選べるようになっています。
ラベルの中央部(下部に文字情報が集中しているので、事実上は上部になります)にこの3つのフレーバーのイメージのイラスト、すなわちスモーキーであればでピート(泥炭)が燃やされるイラスト、バーボンであればバーボン樽の上に柑橘類とトロピカルフルーツが載っているイラスト(Citrus,tropical Fruit
などのキーワードもあしらわれています。)、そしてシェリーであれば倉庫に積み上げられたシェリー樽のイラストが描かれていて、ひと目でわかりやすくなっています。まだディスカバリーシリーズは品揃えが薄いのですが、これから充実していくのでしょう。