国産ウイスキー(ジャパニーズウイスキー)の終売・休売情報2019.06.01

ウイスキーの終売・休売

近年になって、世界的なウイスキーブームの中、多くの人気銘柄が人気が高まったために、終売・休売を余儀なくされる状況が続いています。

特に国産ウイスキー(ジャパニーズウイスキー)は国内の人気が高まると同時に海外・特にヨーロッパでの評価、人気が高まり、深刻な原酒不足に陥っています。

ウイスキーはその製造工程に熟成という段階があって、短くても数年、プレミアム商品になると8年、12年~の間、樽で熟成させなければなりません。長いものだと20年以上も熟成させることも……。

特に人気を集める銘柄はこうした長い熟成期間が必要で、短い周期で人気(需要)が上下すると、供給が追いつかず、結果としてせっかくの人気なのに商品を売れない、という事態が発生しました。

日本のウイスキーは1980年代をピークにかなり長い低迷期を迎えており、この時期にサントリーあたりではかなりの量の樽を廃棄したそうです。このことが今になって、深刻な原酒不足の一因にもなっています。

このページでは、最近の終売・休売の情報を掲載します。今回は1回めなので少しさかのぼって掲載します。次回以降は、情報が入手できるたびに更新していく予定です。

最近の主な終売・休売

サントリー白州12年・2018年休売

白州はサントリーが白州蒸溜所で作っているシングルモルト。現在はノンエイジ、18年、25年が販売中です。白州12年の復活はあと5,6年は掛かりそうです。

白州12年、2021年再販へ

サントリー白州12年が2021年3月30日から数量限定で再販売されることがわかりました。700mlで希望小売価格は税別8500円と休売前と変更ありませんが、年間販売数量は非公開です。現在のノンエイジも相応のプレミアムがついているので、実売がどれぐらいになるのかわかりませんが、朗報です。(2021年1月24日)

サントリー響17年・2018年休売

はサントリーが誇るブレンデッドウイスキーの頂点。国際的にも多くの賞を受賞するなど、高い評価を受けています。現在のラインナップはジャパニーズハーモニー、ブレンダーズチョイス、21年、30年となっています。このブレンダーズチョイスは17年の休売と入れ替わるように登場しましたが、飲食店限定。

現在、ラインナップに上がっているものも流通量不足でプレミアムが付いていることも多く、「呑めない」ウイスキーになりつつあります。

ニッカピュアモルト・2018年終売

ピュアモルトは、ニッカの余市・宮城峡蒸留所のモルトウイスキーをブレンドした、いわゆるヴァッテッドモルト(ブレンデッドモルト)です。ホワイトは終売で、ブラック・レッドも一般販売は終了し、蒸留所直販でのみ継続。

ニッカ ピュアモルト レッド 500ml NIKKA PURE MALT RED 500ml

富士山麓 樽熟50°・終売

樽熟50°は、2016年まで販売していた「樽熟原酒50°」がリニューアルしたもので、キリンディスティラリーの富士御殿場蒸留所で作っていました。その翌年の2017年にマスターブレンダーが「アイコンズ・オブ・ウイスキー2017」で世界一にあたる、マスターディスティラー・マスターブレンダーオブ・ザ・イヤーを受賞し、ウイスキー好きの注目を集めました。

これで人気沸騰したものの、富士山麓 樽熟50°は2018年末の出荷で終売。後継品もなし。これからはシグニチャーブレンドのみの販売になります。

サントリー 白角・休売

2019年3月末をめどに休売しています。白角は白州蒸留所の原酒を使っていますが、休売で販売再開は未定。缶の「特撰白各水割」のみ継続販売しています。

サントリー 知多350ml・休売

知多はサントリーの知多蒸留所のグレーンウイスキー。2019年3月末で350mlを休売にします。700mlも出荷調整中です。

ニッカ カフェグレーン、カフェモルト・休売

ニッカの宮城峡蒸留所のシンボルともなっているカフェ式スチルで蒸留したウイスキー。3月末で休売となり再開時期未定。後継商品なし。このカフェモルト、カフェグレーンは2014年に販売開始し、日本に加え海外でも高い人気を誇っています。

ザ・ニッカ 12年・終売

ザ・ニッカは2014年にニッカ創業80周年・竹鶴政孝生誕120周年を記念して発売したブレンデッドウイスキーでしたが、2019年3月末で終売になりました。4月から代替品としてザ・ニッカ(ノンエイジ)を発売しています。

今後の状況

厳しい原酒不足は今後も続くものと思われます。特に国産ウイスキーでエイジ表示がなされているものはかなり数が減ってしまいましたし、その残ったものについても常に品薄が続いていて、プレミアムがついたりしています。

サントリー、ニッカを始めとしたメーカー各社は現在、どこも原酒の増産に全力を尽くしていて、しっかり熟成したエイジものの代替品としてノンエイジを出すことも多いのですが、こうした理由によるものなので価格が下るということはなく(プレミアムがついて、結局は数年前のエイジものの市場価格より高かったりします。)、これが逆にウイスキーファンの失望とウイスキー離れを招いてしまうのではないか、と懸念しています。

もしそうなった場合は、現在大増産している原酒はメーカーの経営を圧迫する原因になります。出来上がるまでに最低でも10年はかかる商品というのは、本当に需要予測が難しいものです。

サントリーでは、こうした状況に対応すべく、世界の五大ウイスキー産地に点在する、ビームサントリー(アメリカのジムビームのグループが、サントリー傘下に入っています)の蒸留所の原酒を集めた「サントリー碧Ao」というブレンデッドウイスキーを4月に発売開始していますが、これがいきなり倍以上のプレミアムが付いてしまい、とても普通に買えなくなっています。

※今回の情報は2019年6月1日現在のものになります。

2021年2月19日追記。ジャパニーズウイスキーの定義が業界の自主基準で決まりましたので、その記事を作成しています

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA