ビールについて

ビールとは

ビールとは醸造酒の1つで、歴史が古く、世界中で作られているだけに様々な作り方がありますが、基本的には大麦を発芽させた麦芽をビール酵母で発酵させて造ります。

日本では麦酒と表記されています。

ビールの歴史

紀元前4千年ごろにシュメール人によって作られていた資料が最古のもので、神々に捧げられる他に人々にも分配されていたそうです。古代エジプトでは、紀元前3千年ごろにビールの痕跡があり、小麦の原産地の西アジアのメソポタミアから製法が伝わったとする説があります。

元々ビールは大麦を麦芽パンにする技術が派生して誕生したと言われており、穀類が豊富だったメソポタミアやエジプトでビール文化は生まれ発展していったと思われています。

その後、エジプトから北方ケルト人に伝わり、さらにローマへと伝わっていきました。ローマ人はビールやワインをそのまま飲むのは野蛮人の習慣としてあまり受け入れませんでしたが、ゲルマン人のフランク王国になるとヨーロッパ全土でビールは盛んに作られるようになりました。

中世にはビールは修道院が醸造するようになり、技術の発展が見られるようになり、11世紀ごろに修道院でホップを使う製法が始められ、15世紀ごろ迄にはドイツのビールはホップで作られるようになっていきます。

さらに15世紀中頃にはラガービールの製造も始まり、19世紀には酵母の研究が進んで、上面発酵と下面発酵の技術が確立しピルスナービールも生まれます。

日本のビールの歴史

日本でビールの製造が始まったのは、確実なところでは1853年ごろに日本の科学の祖と言われる川本幸民が自宅でビールの醸造実験を行ったのが最初であると言われます。川本はビールのほかにも白砂糖、マッチ、銀板写真の試作も行っていて、「化学」という言葉を初めて使ったことで知られています。

1869年（明治2年）には横浜で初のビール醸造所がうまれ、これ以降、徐々にビールを飲む習慣が日本人にも広まっていきます。

当初はイギリス風のビールが主流でしたが、戦前を代表する札幌麦酒醸造所（現サッポロビール）、ジャパン・ブルワリー（現キリンビール）、大阪麦酒（現アサヒビール）、日本麦酒（エビスビールを生産）の4つの大手醸造所が生まれ、このいずれもがドイツ系であったため、日本のビールはドイツ系が主体になります。この頃までには小資本の醸造所は、大手との競争に負けてほぼ消滅しています。

なお、1906年（明治39年）には日本麦酒、札幌麦酒、大阪麦酒は合同して大日本麦酒になっています。

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第二次大戦と、戦後の混乱の中で、1949年（昭和24年）に大日本麦酒は朝日麦酒と日本麦酒の2つに分割されて、麒麟麦酒との3社体制になります。

その後、1959年に沖縄でオリオンビールが生産を開始し、1963年にはサントリーがビール製造を開始します。

67年にサントリーは生ビールを販売開始し、68年にはアサヒも生産開始。この2つのメーカーの間で、酵母菌の有無を巡って論争も起きています。

また80年代中盤にアサヒビールが現在でも大いに売れているアサヒスーパードライを販売開始。これが大ヒットして夕日ビールと揶揄されるぐらい落ち目であったアサヒは一挙に劣勢を挽回して、シェア1位を獲得します。

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そして、酒税との関係から各メーカーは発泡酒を開発に着手。この安い発泡酒はバブル崩壊の時期ということもあって、消費者の支持を受けて一気に広まっていきます。

麦芽の量によってビールと発泡酒の分類がされますが、税制の改定によってさらに大豆やその他の原料から作った「第3のビール」も生まれ、日本においては「ビールとは何か」が取り沙汰されることもあります。

そして日本のビールの歴史を語る上で欠かせないのが、地ビール（クラフトビール）です。戦後から1994年まで一貫して酒税によってビールは年間最低製造量が2000キロリットル（大びん換算で約316万本）以上で無ければ造ることが出来ないと定められていて、大手メーカーしかビールを造ることが事実上出来ないという状態が続いていました。

しかし、94年4月の改正で、年間最低製造量が60キロリットル（同約9万5千本）に大きく引き下げられ、小規模な事業者もビール製造に乗り出すことが可能となっていきます。

それが、このあとの「地ビール」ブームを生み、多くの地ビールが日本中で産声を挙げます。現在では、ある程度淘汰されてきましたが、それでも各地に個性あふれる地ビールが存在しています。